「秋の日の夕暮れ」

リック・オケイセックの「Emotion in Motion」に刺激を受けて生まれた曲だそうです。他の人の曲と関係ある作品は他にも何曲かありますが、この曲がいちばん原曲から離れていると思います。それだけ孝子さん流に消化吸収されているということでしょう。

さて、タイトルから容易に想像がつくとおり「夏の日の午後」の続編として書かれました。あなたを感じた あの日の午後の風というフレーズから「夏の日の午後」を偲ばれます。

この曲は一聴すると「主人公と彼氏とがラブラブの絶頂にある」という感じがします。夢見心地のサウンドとか、あなたを愛して 本当によかったあたりが特に。その立場でいうと、2番の冒頭は「今の幸せはいつ崩れるとも知れないだから大切に味わおう」と響きます。

だけど、違う読みも可能じゃないかなあと私は思うわけです。何らかの事情で、ついさっき二人は別れたばかりではないのかと。明示されてはいませんが 見つめ合ってる瞳の奥に 知らない誰かが映った から、相手が他の誰かに目移りした可能性も伺えます。愛の喜びを歌ったフレーズもすべて本当によかったと過去形ですから。

どっちが的を射た解釈か、この曲の続編(?)に「クリスマスの夜」という大失恋ソングもあり微妙なところです。


文中、引用符 《 》 で括った箇所は、すべて「秋の日の夕暮れ」歌詞から引用したフレーズです。


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