Time and again

オリジナルアルバムではなく、いきなり『After Tone』シリーズに収録された初の曲です。もっとも、セレクションアルバムだけでみると、『Andantino a tempo』が初出の「夢をあきらめないで」という先例があります。

詩は、おなじみの自分探しソングです。1番前半は「青い日々」の匂いもありますが、この世に生まれ落ちたのは どんな理由があるのだろうというくだりは、今までにない根源への関心も見て取れます。ひところより重苦しさが軽減されて色合いが淡くなった代わりに、詩が奥深くなってますね。噛めば噛むほどって感じ。

大サビに繰り返し出てくる。この歌の雨は「恵みをもたらすもの」「すべてを清めるもの」という、これまた今までにない役割を担っています。

ところで、サビのコーラスでも初めてのことをやっています。字ハモ (主旋律と一緒に同じ歌詞でハモる。この曲の場合、メロディの下を3度平行) とオブリガード (この曲では「woo」) が同時進行するのです。シングルCDのカラオケにはオブリガードのみが収録されています。

2番前半は、あくまでも歌の世界の中での話ですよね。他の曲もそうですが、孝子さん個人のプライベートを想像して聴いちゃアカンでしょう。2番サビまでの空虚さは、大サビで救済されます。大サビは、裏を返すと「一人でいるけど孤独ではない、必ず誰かがいるんだ」というメッセージが感じられます。

コーダでは、過去を振りきって新たな歩みを始めます。この展開は「リベルテ」「電車」などに通じるものがありますね。

そしてタイトル。歌詞には登場しないフレーズです。手許の英語の辞書によると、日本語では「何度も何度も繰り返し」と訳すようです。ということは、時々歌詞に出てくるような想いにとらわれるって意味が込められているのでしょうか。ますます奥が深い。

この曲は、やっぱり雨の日に、部屋か車の中でじっくり聴き込みたいですね。


文中、引用符 《 》 で括った箇所は、すべて「Time and again」歌詞から引用したフレーズです。


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